病虫害対策について
戸塚 剛
1.殺虫剤
@カイガラムシ いろいろなタイプがいますが殻をつくると薬剤が効きにくいので
時期を見計らって薬剤散布をします。
カルホス、スプラサイド
Aダニ 株の状態が悪くなると大発生しやすい。食害された傷口からの病気
の感染が、心配される。
コロマイト
Bアブラムシ ダニ同様、食害された傷口からの病気の感染が、心配される。
また、ウイルスの媒介をする事もあるので注意が必要である。
モスピラン
Cバッタ 新芽、花芽等の比較的やわらかい部分を食害。合成ピレスロイド系の
強い薬をかけないと効かないので、侵入を防ぐ対策が有効。
ハクサップ、トレボン
Dヨトウムシ ヨトウガの幼虫。比較的柔らかな組織を広く食害する。最終令になると
一夜のうちにかなりの被害をもたらす事もある。
カルホス
Eスリップス 弁質の薄い花の花弁の重なった部分を食害する。食害を受けた部分が、
変色し観賞価値がさがる。
コテツフロアブル、スプラサイド
Fなめくじ 根の先、新芽、若い花芽等の柔らかい組織を食害する。フラスコ出し
したばかりの苗が被害を受けることも多い。メタアルデヒド含有剤
で誘引駆除する。少量なら夜行性なので夜に活動中を捕殺する。
ナメルト、ナメキール
2.殺菌剤(細菌類)
@軟腐病 褐色または黒っぽい病巣部が表れごく短時間のうちに腐りが広がり
枯死する。独特の強い腐敗臭がある。罹ってしまうと助かる率は低い。
ゆえに、普段から銅を含む薬剤による予防をするのが良い。
治療的に効果が期待できるのは抗生剤を含む薬剤〔カッパーシン等〕
Zボルドー、キノンドー
3.殺菌剤(カビ)
一般的に病気に罹ったという場合カビに因るものの方が多い。細菌によるものより
進行がゆっくりとしている場合が多く、治療的効果がある薬剤も市販されている。
しかし、予防的に防除するに越したことはない。
予防薬としては、ダコニール、オーソサイド、ダイセン等の比較的古くから使用されているものを使用する。
@エキ病 一見すると軟腐病と似ているが進行が遅く治療薬もある。病巣が変色
する前に水侵状に葉の透き通った部分が現れる。
リドミル
Aタンソ病 エキ病と並びよく見られる病気。葉の中央部あるいは、周辺部から同
心円状に病班が広がりやがてその中心部が枯れて穴があくこともある。
ゲッター
B立ち枯れ病 フザリウム菌に因ると思われる根が腐る事によって起こる病気。
気付いたときには手遅れのことが多い。酷暑等の環境の厳しい時に
出やすい。 タチガレン
4.使用法
通常の消毒時には、殺虫剤1剤と殺菌剤1剤を混合して使いますが、病気の出方のひどい場合には殺菌剤を2剤にする場合もあります。たとえばエキ病がひどく出ている場合その特効薬のリドミルと汎用性のオーソサイドそれに殺虫剤1剤という具合に使います。
また、薬剤を調合する手順ですが、@まず水を規定量はかり A展着剤 Bフロアブル(どろどろとしたタイプ) C乳剤(液体タイプ) D水和剤(粉状)の順に投入しよく撹拌し、すみやかに使います。残った混合液を後日使うことはやめたほうが良いでしょう。
5.注意点
カビや細菌によって起こる病気も全く健全な状態の時にはそう発生するものではありません。高温あるいは低温等の温度による障害、害虫による食害、株分け、植え替え、運搬等の移動中、などに受けた物理的なダメージ。肥料や農薬の濃度が濃すぎた場合にも植物体はダメージを受けています。複数の薬剤を混ぜ合わせて使う場合も、薬害だけでなくそれぞれの薬剤に含まれている展着剤にも注意する必要があります。展着剤とは界面活性剤の一種ですから、植物体の表面にある防護膜であるワックス成分も流してしまいます。もし必要以上にワックスを取り去ってしまったら、薬剤の効果の切れた時にかえって病気に罹りやすい状態になってしまいます。これらの様々なダメージを与えないように管理栽培することが病気に罹らせないこつではないでしょうか。
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